仮縁ってなに?用途・特長・構造を解説【公募展出展者必見】

キャンバスや木製パネル用の額縁には、本縁仮縁があります。仮縁は、展覧会や公募展で作品を展示する際に一時的に使うというケースが多いので、仮の額縁=「仮縁」と言われます。出展額と呼ばれることもあります。すべての公募展で仮縁が必須となるわけではありませんが、公募展によっては、仮縁をつけることが出展条件とされているケースもあります。

仮縁は本縁とどのように違うのでしょうか?今回は仮縁の用途・特長・構造について解説します。

仮縁が使用されるシーン

公募展での使用

公募展に出展する際に仮縁が使用されることが多くあります。仮縁は本縁よりも軽いので、持ち運びがしやすく、会場への搬入がラクです。作品保護のために仮縁をつけることを出展条件としている公募展もあります。
仮縁には幅がさまざまなものがありますが、応募要項に「一辺〇cm以内」といったように幅の規定あるので、応募要項をしっかりとチェックしましょう。公募展によっては、「一辺3cm以内」など、規定の幅が細い場合もあります。
また、美術館など広い空間に展示できる公募展では、思い切って大きな作品(F100号など)を描くこともしばしばあります。仮縁は金属製のものが一般的で、サイズが大きくても軽くて頑丈なので、大きなサイズの作品にも対応できます。

展覧会での使用

仮縁は展覧会でもよく使用されます。大きな作品を展示する際や、作品数を多く展示する際に仮縁が活躍します。仮縁は本縁よりも安価なので、展示する際は仮で仮縁に額装しておき、絵が売れたら本縁に額装し直すという方法がとられることもあります。

仮縁の特長

軽いので持ち運びがラク

本縁はおもに木製のものが多いですが、仮縁はおもに金属製です。金属性だと、軽量な構造にすることができます。たとえば、本縁の弓平F10号は4.0kgですが、仮縁の菊型F10号は1.2kgと、その差は約3㎏です。サイズが大きくなるにつれ本縁と仮縁の重さの差は大きくなります。

【本縁】弓平F10号の重さ
※アクリル板・裏板含む
【仮縁】菊型F10号の重さ

解体できる

おもに金属製の仮縁は、組み立て式となっています。作品を固定している金具や、各辺を接続している金具を取り外して、コンパクトにまとめることができます。電車で運ぶ時や、使用しないあいだ保管する際などに便利です。

菊型シルバーF8号

仮縁の構造

アクリル板やガラス板・オイルライナー・裏板がない

本縁は、アクリル板やガラス板などの表面カバーと、それをおさえるためのオイルライナー、裏板があります。仮縁にはそれらがなくフレームのみなので、軽量かつシンプルな仕様です。

本縁の構造
仮縁の構造

ビスで固定するタイプと、金具で押さえるタイプがある

仮縁には、側面からビスで固定するタイプと、金具で押さえて固定するタイプがあります。ビスで固定するタイプの場合、キャンバス木枠や木製パネルの側面にビス穴があくことになります。ビス穴をあけたくない場合は、金具で押さえるタイプを選びましょう。

※ビスや押さえ金具の数は、商品やサイズによりことなります。

ビスで固定するタイプの仮縁一覧

金具で押さえるタイプの仮縁一覧

支持体に吊り金具を取り付けるタイプがある

仮縁には、仮縁自体に吊り金具がついているものと、キャンバスや木製パネルの木枠に取り付けるものの2種類があります。仮縁自体についている場合は、そこに吊りヒモを固定します。木枠に吊り金具を取り付ける場合は、上から3分の1の高さの場所に取り付けましょう。(絵の構図が縦長と横長どちらの場合も同様です)

アクリルやガラスを入れるには?

一般的に仮縁にはアクリル板やガラス板などが付属されていません。ですが、別途用意して取り付けることも可能です。アクリル板やガラス板を入れる場合は作品に直に密着してしまうので、作品とくっついてしまうなどのトラブルに気をつけましょう。

※仮縁の仕様によっては、アクリル板やガラス板を入れることができないものもあります。

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